197話迄のあらすじ

有力政治家の息子で17歳の鷹枝将は、偽造免許証で車を乗り回す不良少年。

学校にはめったに顔を出さず、クラスメートの間ではまことしやかに「人殺し」という噂も立っていた。
家族から見放されて独りで豪華マンションで暮らす彼の心は冷えきっていたが、唯一のなごみは、なじみの弁当屋で働く古城聡だった。

大学生だと嘘をついて弁当屋に通い詰める将は、聡にほのかな想いをよせていたのだが、彼女は就職が決まった、と弁当屋を辞めてしまう。

弁当屋を辞めた聡は、将が通う高校とも知らず、底辺校・荒江高校の臨時教員として赴任し、いきなり2年2組の担任になる。
聡が新しい担任だと知った将は、学校をさぼるのをやめて、聡に積極的にアタックを始める。

ところで、聡には4年近く付き合っている、中東に赴任中の婚約者の原田博史がいた。
しかし将の家庭環境や過去が明らかになるにつれて、聡は心に傷を持つ将の寂しさを放っておけなくなる。
そしてそれはだんだん恋愛感情となっていく。
 
一方、将の元セフレの葉山瑞樹は、自分から将を奪った聡を恨み、将に恨みを持つ前原に頼んで聡を輪姦させようと企む。
それを知った将は、風邪の体をおして聡を助けに行く。不良どもに夜の川に投げ込まれ、瀕死になりながらも聡を救った。

クリスマス。中東から帰国した博史は、聡に結婚を早めたいと切り出す。博史の母の薫が余命1年を宣告されたのだという。
皮肉にも博史の帰国によって、将への気持ちがはっきりとわかった聡だった。

年が明け、東京から聡の実家がある山口県・萩まで寝ずに車を運転してやってきた将に、聡は自分の気持ちをようやく伝え、二人の心は結ばれる。
同時に博史にも結婚できないと伝えるが、承服できない博史は聡を犯すように抱いて再び中東へ旅立ってしまう。
 
3学期が始まってすぐに北海道へスキー修学旅行があった。
そこで、聡は葉山瑞樹が妊娠していることを知る。瑞樹はお腹の子は将の子だ、と聡に告げる。
疑心暗鬼にとらわれた聡のぎこちない態度に、将は研修を抜け出して行方不明になる。

彼を探してニセコ山頂へやってきた聡は急なガスと吹雪に遭難しかけてしまう。方向もわからなくなるほどのまっ白なホワイトアウトの中で、将と聡は出会う。
避難小屋で一夜をあかした二人は、早朝に自力下山を試みるが、将は転倒して足を骨折してしまう。
 
入院中の将を訪ねた葉山瑞樹は、お腹の子の父親の真相と共に、小学生の頃から義理の父親に性的虐待を受けていたと衝撃の事実を将に語る。
それほど好きでもない瑞樹の好意を利用して弄んできた罪の意識に苛まれた将は、入院中、瑞樹に自分のマンションの部屋を貸してやることにする。

やがて退院した将は、マンションは瑞樹に貸したまま、聡の部屋に転がり込んで、二人は同棲することになる。
しかし同棲してまもなく聡は山梨へと転勤になり二人は離ればなれになり、同棲を解消するしかなかった。
それは婚約者の原田博史の差し金だった。

だが聡の代わりにやってきた担任の不祥事などもあり、また聡と博史が破局したため、聡はまた将のクラスの担任に戻ることができた。

一方、瑞樹が住む将の部屋には、将の中学時代からの友人・島大悟が居候していた。
かつて将がやくざを刺し殺してしまったのは、島大悟を庇ってのことだった。島大悟は将の犯した罪をかぶり愛知県で更生していたが、
その親類の家でのひどい扱いに耐えかねて将のところへ身を寄せたのだった。
そんな島大悟と葉山瑞樹は「似た者同士」として心を寄せ合う。

しかし、安らぎを得られたかに思えた瑞樹の体は、覚せい剤に蝕まれていた。
覚せい剤の禁断症状の幻覚にとらわれた瑞樹は通過する新幹線へと身を躍らせてしまう。

瑞樹を失った大悟は、聡に将が殺人者であることを伝えてしまう。
それは18歳を迎えたことを祝って、一度だけ結ばれようと、聡と将が約束していた日のことだった。

聡は将を拒んだ。傷ついた将。
そして、さらに将は、誕生日を祝うために招いてくれた100歳の曽祖父・巌に自分が15歳の時に殺人を犯したことをうちあけなくてはならなくなった。

巌はそのことがショックで発作を起こして倒れてしまう。